手術せずに鼓膜を再生

鼓膜再生の画期的治療法が確立されたようです。

元ネタ:手術せずに鼓膜を再生、幹細胞活用し新治療法 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

手術せずに鼓膜を再生、幹細胞活用し新治療法

 慢性中耳炎やけがで破れた鼓膜を、手術せずに再生させる新たな治療法を、京都大と北野病院(大阪市北区)のグループが開発した。

 外来で約10分の処置で済み、完治までの期間も約3週間と短いのが特長。患者53人のうち52人の鼓膜が完全に再生した。東京都で6日開かれる日本炎症・再生医学会で発表する。

 鼓膜の修復手術を受ける患者は年間数万人とされる。現在は、耳の後ろの皮下組織や筋肉を包む膜を切り取って移植する方法が主流だが、手術後の鼓膜の構造が元に戻らないなどの課題もある。グループは、破れてできた鼓膜の穴の周りをメスでわずかに傷つけた後、細胞増殖を促す物質を染み込ませたゼラチン製のスポンジを詰め、生体接着剤を数滴振りかけるという方法を開発した。

 北野病院の金丸眞一医師によると、メスによる傷で穴の周りに存在する鼓膜の細胞を作る組織幹細胞が刺激を受け、穴をふさごうとする力を利用。ゼラチンスポンジ内の細胞増殖物質を栄養にして、成長するとみられる。スポンジの大半は体内で分解され、残りは完治後に取り除く。
(中略)
 治療費は自由診療のため約50万円かかるが、5年以内の保険適用を目指す。金丸医師は「手術や全身麻酔のリスクが高いため、鼓膜に穴が開いても修復できなかった心臓や糖尿病の患者、高齢者にとっても有望な治療法だろう」と話している。治療の問い合わせは、金井病院(075・631・1215)へ。

これまでの鼓膜再生の手法ではなかなか完治するのが難しかったのですが、この方法だとほとんど損傷前の状態にまで治るようです。また、高齢者や心臓疾患のある人にも適応しているというのも嬉しいですね。
現在はちょっと高額ですが、これが保険適用されれば、中耳炎による鼓膜損傷の患者さんにとっては朗報ではないでしょうか。