慢性化膿性中耳炎は一般に、鼓膜の穴のあるタイプの中耳炎です。しかし、過去の一時期に鼓膜の穴があった場合には、現在鼓膜の穴がなくてもこのタイプの中耳炎になることがあります。鼓膜の穴の位置や大きさ、中耳の炎症の程度によってさらに細かく分類されます。ここでは穿孔性中耳炎と真珠腫に分けておきましょう。
■穿孔性中耳炎
鼓膜に穴が開いている中耳炎です。慢性中耳炎の中で最も多いタイプで、八割ぐらいを占めています。穴の大きさや位置は、炎症の程度や場所に左右されます。鼓室内の炎症の程度も様々で、炎症がほとんど無いものから、炎症が強く絶えず耳漏を繰り返すものまであります。
■真珠腫性中耳炎
これも中耳炎の代表的な状態です。「腫」という名称が使われているので、できもの(腫瘍)と誤解される場合もありますが、腫瘍ではなく、中耳に特徴的な炎症の一つです。真珠腫は、炎症とはいえ一般の細菌感染とは少し違います。鼓膜の上皮細胞が中耳に入り込み、その上皮細胞が増殖して塊になったものを言います。どのような原因でこの真珠腫が起こるのか、まだはっきりとわかっていません。