慢性中耳炎とは、八週間以上治癒しない中耳炎をいいます。かつては、慢性中耳炎の主要な定義として、鼓膜に永久穿孔のあることが基準の一つになっていました。しかし、鼓膜穿孔のない慢性中耳炎もあることから、そのような基準は不適切となり、期間を基準として区別せざるを得なくなってきたのです。とはいえ、やはり現在でも慢性中耳炎の多くは鼓膜の穴を伴います。
慢性中耳炎の経過としての定義は「八週間以上治らない中耳炎」ですが、それ以上に慢性中耳炎のイメージとして大切なキーワードがあります。それは「肉芽」です。
慢性炎症は炎症の一つですから、もとはと言えば多くの場合細菌感染によって起こっています。この細菌感染はふつう抗生物質によって抑えることが可能です。しかし、様々な原因で細菌を完全に退治することができないと、今度は細菌を閉じ込めようとする慢性炎症の反応が起こります。その反応でできるのが肉芽です。
慢性中耳炎ではこの肉芽が逆に細菌の温床となってしまい、炎症が続いたり繰り返す原因となってしまいます。また、肉芽が空気の通り道をふさぐこともあります。ですから、慢性中耳炎の治療には肉芽を取り除く処置が必要なことが多いのです。