慢性化膿性中耳炎とはどのような病気か?

急性中耳炎で鼓膜に穴が開き急性炎症はおさまったものの、鼓膜の孔が残り続ける病気を慢性化膿性中耳炎といいます。種々の程度の難聴を引き起こすやっかいな慢性化膿性中耳炎の多くは、大人にみられます。
幼少期に急性中耳炎にかかり鼓膜穿孔を起こしたものがそのまま慢性化することが多いのですが、幼少期にはあまり耳の病気に気付かずに大人になって発症する場合もあります。
大人になってから発症する慢性化膿性中耳炎は、糖尿病や甲状腺の病気、進行がんやエイズなどで免疫力が低下することに関係していると考えられます。この場合の起炎菌となるのは、MRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)などの薬剤耐性菌、緑膿菌などがよくみられますが、重い糖尿病の人では真菌の感染によることもまれにあります。
小さなお子さんでは急性中耳炎から頑固な難聴を起こすような慢性化膿性中耳炎に移行することはまずありません。乳幼児の場合は急性中耳炎を繰り返すタイプが多く、その結果鼓膜に孔が残って慢性化膿性中耳炎のようになることはあります。しかし病変としては比較的軽いケースがほとんどです。
慢性化膿性中耳炎は、痛くない中耳炎です。治療には手術を含めて長期にわたる根気よい治療が必要です。ところが痛みがないため、聴力の回復を強く望まない人の仲には、病院に行くのが面倒という理由から病気をそのままにしてしまうこともあります。放置しておくと感音難聴が進行したり、まれに顔面神経麻痺、脳腫瘍などに発展する場合もあるので、症状が進行または悪化するようなら耳鼻咽喉科を受診したほうが良いでしょう。