急性中耳炎で耳鼻科を診察する人のほとんどが10歳以下の子どもたちです。
日本では以前、急性中耳炎にかかる年齢のピークは4~5歳といわれていました。最近は保育園や幼稚園などの集団保育を受けている3歳未満の子どもたちの間で急性中耳炎が多発していることから、年齢のピークが3歳前後と低年齢化しているようです。
急性中耳炎そのものは人から人へうつる病気ではありません。しかし喉や鼻の風邪から細菌感染が生じて、急性中耳炎、急性鼻炎、急性咽喉頭炎を発症し、その時に出る耳だれ、膿性鼻汁、痰などの中に含まれた細菌が手や洋服などについて感染が広がっていきます。
またお子さんの場合、3歳を過ぎた頃からアデノイドの肥大がみられるケースが増えてきます。肥大したアデノイドが鼻水などに刺激されて炎症を起こすと、上咽頭の耳管入口をふさいでしまします。その結果耳管の働きが悪くなり、中耳(鼓室)内の排出機能も低下して中耳炎になりやすくなります。このようなケースでは、アデノイドを取り除く手術が必要となることがあります。
アデノイドの肥大は5~6歳頃がピークで、10歳頃になると小さくなって小学校を卒業する頃には消失してしまいます。またこのころになれば耳管の構造も大人とほぼ同じになるので、風邪をひくとすぐに中耳炎になるようなこともなくなります。
耳管の構造が整い免疫系も整備された成人の場合、急性中耳炎になる確率はずっと低くなりますが、それでも風邪などをきっかけに発症することもあります。鼻炎を患い耳抜きができないときにスキューバダイビングを行ったり、飛行機に乗ったりすると、急激な水圧や気圧の変化に耳管が対応出来ずに潜水性中耳炎や航空性中耳炎になります。