どうして子供は中耳炎にかかりやすいのでしょうか?その理由は3つ考えられます。
1つめは、耳管の構造です。上咽頭にある耳管の入り口は、つばを飲み込んだりあくびをしたりした時以外、基本的には閉じているものです。耳管という「管」であっても、決して筒抜けになっているわけではありません。ところが子供の場合、体の発達がまだ未熟なため、耳管が大人に比べて太くなっています。しかも、耳と鼻とが水平の位置関係にあります。
大人は鼻よりも耳のほうが高い位置にあります。一方子供の場合は、耳と鼻がほぼ同じ高さです。大人のように耳のほうが高い位置になると耳管は斜めになります。細菌が入ってきにくくなるのです。お子様の場合は耳の位置が下にあるので鼻と耳が水平、しかも太い管であるため、上咽頭に細菌がいると容易に感染してしまいます。
2つめの理由は、鼻を上手にかめないことです。風邪をひいたり、あるいはアレルギー疾患などで鼻水が頻繁に出るようになると、大人ならその都度鼻をかみます。ところが小さなお子さんは鼻をうまくかめないので鼻水が鼻の奥にたまってしまいます。鼻の奥というのは耳管の入り口があるところです。鼻水が耳管の入り口を刺激して、炎症を起こしやすくするのです。
3つめの理由は、アデノイドです。「アデノイド」というのは、「のどちんこ」(口蓋垂)のさらに奥(上方)、鼻腔の突き当りにある組織のことで、咽頭扁桃ともいいます。
アデノイド自体はリンパ組織であり、3歳頃から肥大しはじめて5~6歳でピークとなって、その後縮小し、12歳ごろにはほとんど消失してしまいます。アデノイドが何らかの原因で異常に大きくなることをアデノイド増殖症といい、幼児期にしばしばみられる疾患です。
子供は10歳以降の年齢になると、アデノイド増殖症の心配が少なくなり、また耳管も大人に近い構造に変化していきます。