中耳炎発症のメカニズム

風邪は、通常ウイルスの感染によって起こります。ウイルスはまず鼻や喉などの上気道粘膜の細胞に潜り込み、そこで急速に増殖します。ウイルスが粘膜の細胞に入り込み増殖すると、粘膜の細胞は破壊されていきます。そこで問題となるのが細菌による二次感染です。
粘膜には無数の毛(線毛)が生えていて、それがなびいて粘液を運んでいます。風邪ウイルスに感染して損傷を受けた上気道粘膜の線毛の機能は低下します。粘膜の線毛は体に侵入してきた細菌を排出して、細菌感染を防ぐ役割を果たしています。この機能が低下すると必然的に上気道粘膜は細菌に冒されやすくなります。
「ウイルス感染を発端にして細菌感染が起こる」、これが風邪の場合に見られる二次感染です。
細菌の二次感染が起こると、風邪がなかなか治らなかったり、高熱を発症したり、黄色い痰が出たりするようになります。ひどい場合には気管支炎を起こしたり、肺炎を招くこともあります。上気道をはじめとする粘膜の炎症がさらに激しくなるのです。
中耳、とくに鼓室から耳管の入り口(耳管鼓室開口部)も上気道粘膜と同様に線毛上皮に覆われていて、外部から進入した細菌を耳管方向に排泄する働きがあります。通常は、上咽頭から耳管経由で進入してきたウイルスや細菌はこの線毛の機能によって上咽頭方向に排除されるのですが、進入してくるウイルスや細菌の数が多かったり、細菌の毒性が強かったりすると線毛の機能で防御しきれず中耳炎になるわけです。そしてさらに炎症が中耳腔の中でも奥にある乳突洞や園周辺の乳突蜂巣に及ぶと、乳突洞や乳突蜂巣では線毛による防御反応が乏しいため、炎症は長引きやすくなり慢性中耳炎に移行しやすくなります。慢性中耳炎になると、線毛の機能低下に加えて耳管や鼓室粘膜が腫れてくるので、鼓室から上咽頭へ粘液を運ぶ機能がさらに障害されて治りにくくなるわけです。