アデノイド増殖症について

アデノイド増殖症の原因の一つは、鼻の奥にたまった鼻水に刺激されて腫れてくることです。3歳頃から肥大しはじめているところに、さらに鼻水に刺激されてアデノイドが腫れ上がると、耳管の入り口をふさいでしまうようになります。すると中耳腔の中の粘液が耳管から排出されにくくなり、中耳内にたまってしまいます。
また空気の入れ替えができないために、外界との圧力調節ができなくなって中耳腔が陰圧(気圧の低い状態)になります。中耳腔が陰圧になると、中耳粘膜に存在する毛細血管から中耳腔内に水分などが引き寄せられていき、中耳内に液体(滲出液)などがたまった状態になります。この状態が滲出性中耳炎です。
中耳の中にたまっている滲出液は細菌の感染を招きやすく細菌が増殖すると急性中耳炎となります。
アデノイド肥大が原因の滲出性中耳炎は、投薬だけでは治りにくいことがあります。その理由は、まず、アデノイドが大きいと鼻がつまります。鼻が詰まると鼻水が出にくくなって奥にたまり、そこに細菌が感染してねばねばした黄色や緑がかった汚い鼻水となります。これはいわゆる慢性副鼻腔炎の状態で、鼻水は鼻の後方に回って(後鼻漏)上咽頭に達しますが、アデノイドが大きいために上咽頭に後鼻漏がたまりやすく、それが刺激となってアデノイドが腫れてアデノイド増殖症の状態がいつまでも続きます。アデノイドが大きいことによって生じた鼻づまりがアデノイド増殖症を助長するという悪循環が生じるのです。
こうして起きた滲出性中耳炎を治すためにはこの悪循環を断ち切る必要があり、それには投薬だけでは対応できず手術によってアデノイドを削らなければならないこともしばしばです。